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エピメテウス夢譚

エピメテウス夢譚

2005 (13)

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12月17日(土)


<タイトル> 『サヨナラCOLOR』 2002年/日本/113分
       http://www.zaziefilms.com/sayonara-color/
<監督・脚本>  竹中直人
<場  所>  OS劇場C・A・P
<ひとこと> 感じ方は十人十色、千差万別、長万部。 

 この映画は監督の竹中直人がスーパーバタードッグ時代の穂積タカシの「サヨナラCOLOR」という曲を聴いて、それにインスパイアされて作った作品。この歌は私も思い入れのある曲。実際、映画の元になった曲は、穂積タカシがスーパーバタードックの解散しようと決めた時の心情を歌ったものとか。ただ、聴く方としてはそれぞれの自分の状況に重ねてこの歌を聴くことができると思うし、私自身もその時々の自分の心境に重ねつつ聴いていたと思う。

 で、この映画を観て、少なからず私の感じたサヨナラCOLORのイメージとは違って、観ている間、どうもシックリこなかった。ただ、竹中直人には、この曲からこういうサヨナラのイメージを感じたのだろう、と今は思える。みんながみんな同じイメージを抱く必要はないし、逆にいえば、それだけ普遍性や包容力のある曲だともいえるのかも知れない。

 と、曲の話ばかりに。肝心の映画の話。自分自身ちぐはぐな思いで観ていたし、結末が読めたのでストーリィについては特に感じ入ること部分はなかったのだけれど、最後に「サヨナラCOLOR」が流れた時には物語とは関係なくじわじわ涙ぐんだ。そして、やはり原田知代はチャーミングなんですね。まったく年齢を感じさせず、しかも厭味に映らない自然体の魅力があります。他にも段田安則など、なんやかんやで素敵な役者さんが多かった。なかでも主人公の竹中直人と援助交際することになる女子高生まなみ役の水田芙美子が気になった。「スウィングガールズ」に出ていたらしい(ベース役)が、よく思い出せない、というか全然違った印象。イイかも知れない。

 あと、この作品のもう一つの見どころ。それは、この曲の生みの親である穂積タカシとはじめ、田島貴男、斎藤和義、原田郁子(クラムボン)、Leyona、高野寛、濱崎貴司、そして忌野清志郎など、思い入れの深いアーティストたち(久しぶりに見る顔もあったりして)がスクリーンに出ていてこれまた素敵過ぎ。しかもほとんど患者役で、妙に患者役がはまっていた。

 話の中身は非常にドラマティックであるのに、とても淡々とした展開で描かれているのが印象的だった。

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11月13日(日)


<タイトル> 『さよなら、さよならハリウッド』(原題:Hollywood Ending) 2002年/アメリカ/113分
       http://www.nikkatsu.com/movie/sayonara/
<監督・脚本>  ウディ・アレン
<場  所>  パルシネマ
<ひとこと>  ここ最近の彼の作品ではピカイチ


 私の大好きな監督の作品ですので、楽しめなかった訳がないのですが、それを差し引いても十分に面白い映画だと思います。映画館の中でこんなにも笑ったのは久しぶりではないでしょうか?もしかしたら「僕はパリに恋をする」以来??それは大袈裟にしてもそれくらい面白かったですね。

 で、この作品のヒロインのティア・レオーニ。彼女がずっと思い出せなくて上映中、

「誰だっけ…何に出てたんだっけ…うーー…ん」

 ともどかしくて仕方ありませんでした。ちなみに思い出そうとしていた作品は、「天使のくれた時間」でした。でも、彼女は良かったですよ、チャーミングでしっかりとした演技をしていたと思います。

 この作品を観て、ウディ・アレンがどれだけニューヨークを愛しているかがひしひしと伝わってきました。そして、私もいつかそのニューヨークへ行ってみたいという気持ちがふつふつと湧いてきました。

 しかし、ウディ・アレン。今年70才。老いてますます盛んなり。ブラヴォー。


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11月13日(日)


<タイトル> 『サイドウェイ』(原題:SIDEWAYS) 2004年/アメリカ/114分
       http://www.foxjapan.com/movies/sideways/
<監  督>  アレクサンダー・ペイン
<場  所>  パルシネマ
<ひとこと>  


 とにかくこの作品はワインがモチーフになっていること、これにつきます。そして、私はワインが好きなのでそれだけで見た甲斐があったというものです。私の好きなもの、ワインと映画の最高のマリアージュ。菜の出中身なんてこの際どうでも良いんです。
 …と言いたいところですが、残念ながらいただけないところがあります。それは主人公の恋する女性がタバコ吸いながらワイン飲むんですよ。いや、別にタバコ吸ってワイン飲んじゃあいけないって訳ではないのですが、仮にもワインに携わる職に就いている者が当たり前のようにタバコ吸って、しかも「私は鋭い舌の持ち主」ってそりゃないでしょ?これは興醒めです。背後に何か大きな圧力がかかっているのかと邪推してしまうほどに。

 この作品はワインというエッセンスを取り除いて観ると、アメリカ映画にありがちな(といっても今思い出せるのは『Mr.ダマー』と『Nothing to Lose』くらいしかないけど)凸凹コンビの珍道中紀。主人公の優柔不断でネガティブ思考な典型的な<ハムレット型人間>と、相棒の猪突猛進で楽天的な典型的な<ドン・キホーテ型人間>の対比が面白いっちゃあ面白いし、普通っちゃあ普通。

 ワインに特に興味のない人間が観てどこまで楽しめるかは私にはわかりません。


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8月24日(水)


<タイトル> 『リンダ リンダ リンダ』 2005年/日本/114分
       http://www.linda3.com/
<監  督>  山下 敦弘
<場  所>  シネカノン神戸
<ひとこと>  この映画の全てが私の高校時代に繋がっている。


 「ブルーハーツ」といえば私の高校の時のバイブルの1つで(もう1つは「筋肉少女帯」でした)、舞台は高校の文化祭、友達、恋心、告白…そこには私の高校生活のすべてと繋がっていました。懐かしい、というような生易しいものではなく、場面場面がイチイチ自分の高校時代と重なって、その時の想い出が甦って嬉しいような淋しいような複雑な気持ちになった作品。

 単純にこの監督はブルーハーツがものすごく好きなんだと。その熱い想いが、主人公の女子高生たちを通じてブルーハーツ大好きっ子の私の胸にビシビシ伝わってきた。だからストーリーとか演技とか構成とかカメラワークとか、そんなものに関係なく面白かったし、そんなに泣くような映画ではないと思うのですが、エンドロールでブルーハーツのオリジナルの「終わらない歌」が流れた時、私の頬にも涙が流れました。まさに『今にも目からこぼれそうな涙の訳が言えません』でした。
 なので、主役の4人の演技なんかも、どうでもいい…ことはないですけど、高校生の新鮮さ、あやうさ、もどかしさなんかがよく出ていて観ていて恥かしくなりました。若さってはずかしい。でも、そこが美しい。そして、うらやましい。とあらためて実感させられました。ただ「女子高生役はちょっと苦しんじゃないか?」と思わせる人も中にはいますが、そのギリギリ感も含めて楽しみましょう。

 あと、ヴォーカル役のペ・ドゥナ。『吠える犬は噛まない』『子猫をお願い』似でていた子です。『吠える~』は残念ながら観る事ができなかったのですが、『子猫』の方は観ていて、映画の内容はともかく、この女優さんの独特の雰囲気が素敵だと思っていたのですが、この作品でもその個性を如何なく発揮していると思います。ぜひ『吠える~』もチェックせねばと思いました。
 
 山下監督自身も「無理をしてでも劇場で」と言っていますが、私も「劇場以外では観ないで下さい」と言いたい。個人的にはハマった映画です。


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8月11日(木)


<タイトル> 『妖怪大戦争』 2005年/日本/124分
       http://yokai-movie.com/index.html
<監  督>  三池 崇史
<場  所>  梅田ピカデリー
<ひとこと>  物は大切に。そして、人間も。


 第一印象は「豪華キャストだなぁ」でした。しかも、そのほとんどがチョイ役ですから。贅沢な映画だと。で、そのキャストに負けず劣らず楽しめた映画でした。
 主役の神木隆之介くんは、かわいいんです。微笑ましいんです。それだけで充分でしょう。でも、やはり見どころは脇を固める豪華キャストの演技でしょう。特に菅原文太さんはさすが!の存在感でした。味があります。あと、忌野清志郎は相変わらずの大根で、これはこれで存在感なのでしょう。

 ただ、登場人物・妖怪は個性的で多様なキャラクタで面白かったのですが、そうであればあるほど、その登場キャラの背景や相関をもう少し描いて欲しかった。アギの殺された理由も加藤が倒された理由もイマイチ説明不足の様に思われ少しもどかしかった。
 とはいえ、もともとが大味なストーリーなので、そこまでディテイルをどうこういうのは不粋でしょう。神木くんが可愛くて、栗山千明はカッコいい、そしてギャグは妖怪よりも寒いのもある、でも、なんだか楽しい…それでいいのかも知れません。

 さらに、これは個人的な感想ですが、なんとなく「キューティーハニー」に似ている…とも思いました。キッチュなCGなんかも…。ちなみに、機怪の出てくるシーンは「ロボコップ」を彷彿とさせました。
 そして、この映画は<妖怪vs機怪>という構図になっていますが、私にはその中に<高橋真唯vs栗山千明>というもうひとつの戦いの図式があるように思えました。私としてはこちらの対決の方が見応えがあり、面白かったです。
 

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8月11日(木)


<タイトル> 『エレニの旅』 2003年/ギリシア・フランス・イタリア・ドイツ/170分
       http://www.bowjapan.com/eleni/
<監督・脚本>  テオ・アンゲロプロス
<場  所>  神戸アートビレッジセンター
<ひとこと>  映像、音楽ともに美しい、物語は悲しい。美しきギリシア悲劇。



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5月8日(日)


<タイトル> 『コーヒー & シガレッツ』(原題:『COFFEE AND CIGARETTES』)/2003年/アメリカ/96分
       http://www.coffee-c.com/
<監  督>  ジム・ジャームッシュ
<場  所>  シネリーブル神戸
<ひとこと>  気まずい空気をお茶で濁す、タバコで煙に巻く



 監督がジム・ジャームッシュ、出演も私の大好きな役者さんばかりとくれば、もう観る前からイイ作品に決まっているんですけどね。
 この映画の魅力を一言でいえば『“間”の美学』でしょうか。おもわずタバコに火を点けてしまいたくなるような、コーヒーカップに手を伸ばしてしまいたくなるような、そんななんとも言えず気まずくもニヤリとしてしまうニヒルな“間”をみごとに作り出しています。
 さまざまなシチュエーションでコーヒーを飲み、タバコを吸いながらのとりとめもないことを淡々と綴った11の短編集。なんと言うことはないと言えばなんと言うことのない話ですが、ジム・ジャームッシュが撮るとアートになるんですよね。映像もストーリーも。もちろん出演者の素晴らしい演技に支えられていることは言うまでもないことですが。
 DVDでゆっくりと何度も繰り返して観たい、そんな映画ですね。ここ1年位に観た洋画では一番のハマリ具合でした。


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5月1日(金)


<タイトル> 『タッチ・オブ・スパイス』(原題:『A Touch of Spice』)/2003年/ギリシア/107分
        http://www.gaga.ne.jp/spice/main.html
<監督・脚本>  タソス・ブルメティス
<場  所>  シネリーブル梅田
<ひとこと>  スパイスの映画。



 正直、あまり期待していなかったのですが、(期待していなかったからかも知れませんが)意外に楽しめました。ストーリーもいろんな要素が盛り沢山で、CGもふんだんに使われているし、ユーモアのスパイスもまあまあ効いていて、キャッチーな作品に仕上がっていると思います。
 ただ、ヒューマニティ・恋愛・ノスタルジー・宗教・戦争・歴史等々、スパイスを少々詰め込みすぎたようで、イマイチまとまりを欠く、というか大風呂敷を広げたのは良いけれど、結局、収集がつかなくなってしまってそれぞれが中途半端になってしまった、という感じは受けましたが、普通に楽しむには問題ない作品かと思います。周りのお客さんの反応も良かったです。
 個人的にはトルコのイスタンブールの映像は実に懐かしく、これだけでも観た甲斐があったと思います。
 しかし、キャッチコピーが謳っているような

『ニュー・シネマ・パラダイス』を越える…

ということは、当り前ですが、ないですね。売り言葉とはいえ、こんな軽率なことを言っちゃあ、逆にこの作品の価値を落としてしまう様な気がしますが…



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4月22日(金)


<タイトル> 『マゴニア』(原題:『MAGONIA』)/2001年/オランダ/97分
        http://www.magonia.jp/
<監  督>  イケネ・スミツ
<場  所>  神戸アートビレッジセンター
<ひとこと>  詩情豊かな<黒>童話。



 予告編を観て気になった映画。<希望>をモチーフに詩情豊かでファンタジックな映像とエキゾチックでノスタルジックな音楽が紡ぎ出す寓話集。その各々の物語の中で唄われている歌が、歌詞は分かりませんが不思議と心に残りました。この繊細で儚く温かくて柔らかい感触は、女性の手によるものだからでしょうか。

 しかし、そんな雰囲気とは裏腹にストーリーは決しておだやかではありません。すべての物語に一貫している<希望>観は、希望や夢、愛を信じる者に待ち受けるものは残酷な現実である、という結末。それを観ている者に同情の余地を与えないほど冷淡に描いています。かなり凹みます。この監督は若くてとてもキュートな女性なのですが、ほんと「カワイイ顔してババンバン」です。
 待っているのは厳しい現実だとわかっていても、いや、だからこそ人は<希望>を持とうとする…だって人間だもの。救いようのない物語ばかりなのに、観終わったあと、なぜか心が温かい気持ちで染まるのは、『希望は最後に消えるもの』であると同時に、それは『新たな希望の始まり』であるという<希望>をこの作品の中に見い出したからかも知れません。
 ただ、この映画はストーリーの説明がほとんどなく、感覚で観せる作品なので、人間関係や物語の背景がいちいち気になる人にはお薦めできません。


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3月22日(金)


<タイトル> 『コーラス』(原題:『Les Choristes』)/2004年/フランス/97分      
        http://www.herald.co.jp/official/chorus/index.shtml
<監  督>  クリストフ・バラティエ
<場  所>  シネリーブル神戸
<ひとこと>  天使の歌声に心が洗われます。



 製作が「WATARIDORI」のジャック・ペラン、主演は「バティニョールおじさん」のジェラール・ジュニョ。これだけで観ない理由はない、といった感じですが「2004年フランス動員記録1位樹立(870万人動員)」オマケというオマケ付きでやってきた話題作。

 ストーリーに特別新しいものはなく、嗜好を凝らした演出もなく、ストレートなつくりの映画です。では、何が普通でなく、すごくて、フランスで870万人が観るに値した作品なのか?
 それは「奇跡の歌声」です。『人にも及ぶ候補者の中からみごとピエール役の座を射止めた』という主演のジャン=バティスト・モニエ君の美声をはじめ天使たち(悪魔たち?)の歌声に他なりません。これは劇場で聴いてよかったと思いました。

『それは、聴くだけで涙があふれる不思議な歌声でした。』

というキャッチコピーもまんざら誇張表現ではないと思いました。

 あと、個人的には音楽教師役のジェラール・ジュニョの演技にしびれました。人の良さや子どもを信じる、愛する人柄が滲み出ていて、「私もこんな先生に受け持ってもらいたかった…」と思いました。イイ役者さんです。

 全体としては良くまとまっていて無難な作品なのですが、天使の歌声とジェラール・ジュニョの演技で耀いて見えた作品です。



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3月17日(木)


<タイトル> 『オランダの光』(原題:『HOLLANDS LICHT』)2003年/オランダ/94分      
        http://www.cetera.co.jp/library/holland.html
<監  督>  ピーター=リム・デ・クローン
<場  所>  神戸アートビレッジセンター
<ひとこと>  もう一度オランダに行きたくなりました。


 「オランダの光」――― 初めて聞く「光」でしたが、確かにフェルメールを始めとしたフランドル絵画にはやさしく立体感のある独特の魅力があるなぁ、と思っていました。そして、映画「真珠の耳飾の少女」でも非常に光と影の美しさを鮮やかに且つ繊細に描いた作品だと思いました。その秘密がこの「オランダの光」にあるのかも知れない、と思いました。
 実際のオランダの光の定点観測やプロヴァンスやアリゾナの光との映像による比較。17世紀オランダ絵画の名作に見るオランダの光。芸術家や学者による「オランダの光」の考察…などなど作品の中では「オランダの光」を様々な方法や角度から、その存在や実体を探っています。これが非常に興味深かったです。

なかでも、出演した1人の芸術家の言った

『イタリアは絵の中に物語を描く。オランダはただ見えるものをそのまま描く。窓から外の景色を見るように』

という意味の言葉が非常に印象に残りました。

 映画を観終わって、自分なりに「オランダの光」とは何ぞや?ということを自分なりに考えると、「オランダの光」とは、オランダ芸術が生み出し、受け継いできた光を表現する独自の手法・技術ではないかと。
 独特の光というのは世界中どこにでもあるでしょう。それは「イタリアの光」でもあり、「フランスの光」でもあり、「日本の光」でもあるでしょう。でも、「オランダの光」が他のものより特別で美しい光である所以は、17世紀オランダ絵画にその光が独特の技術・手法で描かれたからだと思います。つまり、絵に描かれることによって「オランダの光」は生まれたのではないかと、そんなふうに思いました。

 それにしても、この映画を観たらオランダに行きたくなる、そんなオランダの魅力がてんこ盛りです。オランダの自然や絵画の映像が非常に美しいので、オランダ観光のプロモーションとしては最高だと思いました。
 かくいう私も一度オランダ(アムステルダム)に行ったことがあるのですが、もう一度オランダに行ってみたくなりましたから。というか、もう一度この映画を観てみたいですね。


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2月5日(日)


<タイトル> 『パリ・ルーヴル美術館の秘密』(原題:『La Ville LOUVRE』)1990年/フランス/85分            
        http://www.cetera.co.jp/library/louvre.html
<監  督>  ニコラ・フィリベール
<場  所>  OS劇場C・A・P
<ひとこと>  ルーヴルは一日にして成らず。


 所蔵品数約35万点、世界最大規模を誇るルーヴル美術館の華やかな表舞台を陰で支える人たちにスポットを当てた作品。天井や壁を覆うような大きな作品は、一体どこからどのように運び込まれているのか?いわれてみれば不思議に思う事や展示作品のディスプレイに込められた作品一つひとつからルーヴル美術館にかける想いや哲学など、普通に観光客としてルーヴル美術館に訪れるだけでは決して観ることのできない美術館の裏側を子気味良いテンポで垣間見ることができる。
 特にルーヴルで働く人たちがみんないきいきと楽しそうに、そして誇りを持って働いている姿が眩しくも印象的でした。さりげなく出てくるいつもはVIP待遇のモナリザやミロのヴィーナス、サモトラケのニケが彼らを引き立てていました。


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1月7日(金)


<タイトル> 『イブラヒムおじさんとコーランの花たち』2003年/仏/100分
        http://www.gaga.ne.jp/ibrahim/
<監  督>  フランソワ・デュペイロン
<場  所>  シネリーブル神戸
<ひとこと>  オマール・シャリフ、老いて益々盛ん也


ストーリーはまあまあです。が、何をさておきオマール・シャリフに尽きます。いい味出してます。
彼を演技を観れただけでも、この作品を観た甲斐があったというものです。たいしたことでなくとも
彼がしゃべると何か含蓄に富んだ言葉のように聞こえてくるのが不思議です。オーラを感じます。
あと、主人公の子役もなかなかよかったです。がんばってました。カッコよくないところが好感色。


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1月7日(金)


<タイトル> 『約三十の嘘』2004年/日本/100分
        http://www.30uso.com/
<監  督>  大谷健太郎
<場  所>  シネリーブル神戸
<ひとこと>  金儲けも恋愛も騙し合い


 限られた空間での群像劇。一応、サスペンス仕立てになっているのですが、やはり人間模様をえがいた作品と聞けば、個人的に「8人の女たち」や「ゴスフォード・パーク」、「テープ」といった作品が最近の作品ではすぐに思い出します。ので、これらの作品が好きな私のような人なら楽しめる作品、だと思います。
 第一印象は脚本がしっかりしているという事。これは、この手の作品では非常に重要だと思います。見た目が地味ですからね。そして、演じている役者も良いです。「人選が大切だ」というような台詞が劇中でも出てくるのですが、この作品にも言えることなのではないでしょうか。私の好きな田辺誠一や椎名桔平も期待通りにいい味出していましたし、今までそんなに好きではなかった中谷美紀が魅力的に思えたり…まあ、妻夫木くんはおいといて…みんなよかったですね。いや、妻夫木くんも頑張ってました。あと、微妙な笑いが適当に散りばめられていて、笑えるかどうかは別にして、そんなところが妙に微笑ましかったり。
 そして、この映画でまなんだことは、ひとつ「試合に負けて勝負に勝つ」もしくは「負けるが勝ち」ということ。ふたつ、「金儲けも恋愛も騙したモン勝ち」ってこと。このふたつを思い知らされました。


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